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「人間失格」と不倫

 「人間失格」は、インパクトのあるタイトルと、太宰治の最後の作品としても有名で、現在でも版を重ねる長く読まれ続けている作品です。物語の主人公である大庭葉蔵が書いた手記を手に入れた男が、「はしがき」と「あとがき」を書き、その間に手記が挿入されるという構成になっています。
 それでは、手記部分の粗筋を見ていきましょう。裕福で成績優秀、しかも美少年な主人公は、常に恐怖を抱きながら生活しています。表面上は明るく振る舞い、道化を演じながらも、生きる事に対して臆病なのです。また、幼少のころから女中や下男から性的虐待を受けていて、主人公の人格形成をより複雑なものにしていきます。
 中学生の時に、主人公は人妻と入水自殺をしますが、失敗し、女だけが死に自分は生き残ります。その後もインモラルな男女関係に身をやつし、アルコールに依存するようになります。そんな時にようやく処女に恋をして、結婚したいと考えるようになります。ですがその女性は強姦され、主人公はそれを目撃してしまうのです。絶望感にさいなまれ、アルコールや睡眠薬、モルヒネなどを常用するようになり、最後には精神病院に入れられます。そこで主人公は自分が世間から、人間失格の烙印を押されたのだと確信するのです。
 主人公はうつ病のような気質を持っていますか、この話に共感できない人は精神的に健全な人かもしれませんね。ですが人間、多かれ少なかれウツになる可能性は持っています。だからこそ長い間、この「人間失格」は長い間読まれてきたのでしょう。そして、精神的な充足感を得られない人が不倫をしてしまう、その気持ちの一端を垣間見る事ができます。
 ところでうつ病の人は、なぜか浮気や不倫をしやすい、されやすいという傾向があります。浮気をしてしまう人は、依存型の精神構造を持った人が多く、満たされない心を埋めて欲しいと考えてしまうからです。明確に依存症である場合もあります。ウツ気質の人が浮気されやすくなるのは、その依存が重く感じられ逃げ出したくなってしまうからです。ですが不倫でウツや依存をごまかそうとすると逆に悪化してしまい、通院や投薬が必要なうつ病になってしまう事もあります。自分の心がちょっと人より弱いかも、そんな自覚がある人は不倫には手を出さない方が賢明でしょう。