浮気と法律
浮気は、モラルに反するものですが、犯罪ではありません。ですから現在は刑事処分にはなりません。愛人契約なども、同意の上での契約ですから、これも全く違法ではありません。売春の場合は「不特定多数」と、金銭の支払いを伴う性交渉があった場合を指しますから、ひとりに絞ってお金を払っている間は問題ありません。結婚しているパートナーから浮気をされたら、不貞行為として離婚の訴えを提起できる、民事責任を負わせることができる、それだけなのです。
ですが既婚者の浮気は、古くは不義密通と呼ばれ、法に反するものでした。江戸時代の不義密通は重罪で、死刑。斬首の上、試し斬りだったそうです。心中して生き残った場合は、非人手下(身分制度から外れた、読んで字のごとく一般人ではない人)とされ、「晒し」と呼ばれる、これも時の通り晒し者にされました。
明治時代には結婚している人が不倫をした場合、姦通罪という犯罪になりました。ですがこの親告罪は、ちょっと大きな問題がありました。夫のある女性が不倫をした場合は、不倫をした女性も浮気相手も犯罪で、夫は告訴することができました。ですが妻がいる夫が不倫をしたり愛人を作ったり、内縁関係になっても正妻は告訴することができなかったのです。男性に許されないのは、夫のある女性と不倫関係になる場合だけです。この場合は不倫相手の夫が訴えることができます。この姦通罪が廃止されたのは昭和22年の事。終戦前は、まだ男の浮気が許されて、女の浮気が犯罪とされていたのですね。
一部では重婚が法律で許されているイスラムでは、現在でも不倫は重罪で、石打ちによる公開死刑が行われます。といってもこれはシャリーアと呼ばれる宗教上の法律で、イスラム圏のすべてでこんなことが行われている訳ではなく、ごく一部の地域だけです。ちなみに重婚したい場合、男性は4人まで妻を持つことができます。ですがお金がなければ重婚の資格がありませんし、全員を平等に扱わなければいけないと定められています。